効果的なIR取材のために(後編)アウトプットを最大化する5つのポイント

皆様こんにちは。IR担当のFです。

12月2日に金融庁より「企業情報開示の新ルール 最終案」が開示されました。
本ルール導入の意義として次のように記されています。
・発行者側の情報開示ルールを整備・明確化することで早期の情報開示を促進し、投資家との対話を促進する。
・アナリストによる、より客観的で正確な分析及び推奨が行われるための環境を整備する。
・発行者による情報開示のタイミングを公平にすることで、中長期的な視点に立って投資を行うという投資家の意識改革を促す。

投資家様との対話の窓口であるIR部門として、情報開示の公平性を保ちながらいかに投資家様のニーズにお答えしていくべきか、悩みながら試行錯誤する毎日です。
必要最低限の項目ばかりではありますが、本日は「効果的なIR取材のために(後編) アウトプットを最大化する5つのポイント」として、取材後に心がけている点についてご紹介させていただきます。

1.取材記録
取材のクオリティを向上させるため、記録は必須です。とはいえ、全発言をメモすることは不可能なため、先方の質問項目のみを記録しています。これだけでかなりの再現性があるのでおすすめです。
取材記録には大きく3つの目的があります。

◇プロフィール
質問事項を記録しておくことで、投資家様の優先順位や分析基準を把握することができます。
例えばマージンの変化率を追っている・BSにフォーカスされる・どのセグメントが好き、などそれぞれ傾向があります。
事前に準備をしておくことでQAがスムーズになり、より踏み込んだ議論をすることができます。

◇首尾一貫性
数年ぶりにお目にかかった投資家様とのMTGが予定の半分の時間で終わり「もうよろしいですか?」とお聞きしたところ「基本的な経営方針が変わらないことが確認できたので満足です」というコメントをいただき、非常にありがたいと感じた経験があります。
前回と言っていたことが変わらないというのは、非常に重要なポイントです。
“拡大期でも過信せずコスト規律を保つ。忍耐期でも地道な将来投資を続ける。”
短期的な業績はもとより、こうした事業会社側の一貫した経営姿勢こそ取材時に観察されているという点を強調したいと思います。

◇チューニング
取材のやりとりを客観視することで、回答が支離滅裂で説明になっていない箇所が浮き彫りになります。
本当に恥ずかしい限りです。スクリプト化し、同じ失敗を繰り返さないようにします。

2.追加質問
取材時にお答えできなかった項目は持ち帰り社内で確認し、当日中に返信しましょう。
すぐに回答できない場合は、お答えできる範囲でお伝えする・回答期限を回答する、など出来る限りの手を尽くします。

3.英語の課題
海外の投資家様から何度も聞き直されるなどMTGの流れが悪い箇所はIR部門の責任です。
“無意味な単語の羅列を省く。説明のロジックを見直す。用語集を用意する。口頭ではなく説明資料を用意する。”・・・など、様々な対策を講じます。
こうした活動の積み重ねが先方の時間対効果の改善につながります。

4.名刺登録
頂戴したお名刺は、ExcelやDBに登録し、決算説明会案内などの情報配信に利用させていただきます。

5.フィードバック
投資家様の所感やアドバイスは多くの示唆を含んでいます。
プロフェショナルである市場関係者様の温度感や目線を、経営層と事業責任者にフィードバックします。
厳しい声を頂くことも多いですが、上場企業として成長していくための道標として必要不可欠であると感じています。また「ぶっちゃけ、このページは意味が分からない」など、IR担当者へのダメ出しもいただきます(笑)
こればかりは努力していくしかありません・・・!!


事業会社と投資家様とのリレーションの改善を続けることにより、市場への良質なリスクマネーの供給が促進され、結果としてネットセクターがより活性化し、5年後・10年後の社会の発展につながると信じています。
今後も草の根IR活動を継続してまいりたいと考えております_(._.)_

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2016年12月09日 | Posted in All, IR情報 | タグ: No Comments » 

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